2017年04月14日

「ちょっとまぶしいですよ」

 父が亡くなってやがて5年になる。 どんな事があっても入院はしたくないという
父の意思を受け止めて在宅介護を引き受けた母と、亡くなるまで支えてくださった
訪問診療のT先生のおかげで、父は幸せな最期を迎えることができた。

 亡くなる日の夕方から、たまたま実家に来ていた妹と母と3人で、亡くなる午後
10時頃までの3時間あまり、消えゆく命の火を見守ることができた。 
 
 最後に父は口をパクパクさせていた。 何か言いたかったようだ。 たまりかねて
私が、「お母さん、有難うって言いよんなるよ。」と母に伝えた。

 先生が来られる前に来てもらっていた訪問看護師さんによって、命が消えた事は
一応確認されていたが、先生が来られて「Mさん(父の名)ちょっとまぶしいですよ。」
と言って瞼を開き確認後、死亡時刻を告げられた。

 その時はもう息絶えていたのに、先生の「ちょっとまぶしいですよ。」のひとことに
私は泣いた。 今でも思い出すと目頭が熱くなる。

 90歳で、死因は老衰。 加齢に伴う様々な身体的症状があり、在宅酸素や訪問看護、
訪問入浴、福祉用具貸与等、介護保険による社会的支援も受けていたが、何といっても
父が90歳まで生き、穏やかに逝くことができたのはT先生のおかげである。

 先生はいつも、介護疲れの母のことも気遣ってくださっていた。 
 そして、厳しかった父は、私たち家族に、「人間どう生き、どう死にゆくか」を見せてくれた
ように思う。


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Posted by 熊本県高齢者介護施設・住宅ガイド at 16:02 │おしゃべり通信(KOGA)