2019年07月26日

父の追想

 父が90歳で亡くなってから8年になる。

  医師から入院を勧められた時、 「入院するくらいなら死んだ方がよか。」 という父の意を
汲んで、亡くなる前の約1年間を在宅介護に徹した母は、現在94歳になり、介護施設で
元気に暮らしている。

 父は、訪問診療・看護・入浴・訪問薬剤師等の介護保険を活用して、多くの人に支えられ
ながらの老後を過ごした訳だが、老いて我が身が思うようにならない事が情けなく、つらい
日もあっただろうと思う。

 母の食事介助や排泄介助を受けながら、自分の事を後期高齢者ならぬ「末期高齢者じゃ。」
と言っていた。 少しずつ老いていく中で、友人・知人たちから 「お元気ですか?」 と便りが
あれば、 「元気はないが生きてはいる。」 と返信していた。

 国語教師だった父の本棚には、日本文学全集やあらゆる作家の本が多く並んでいた。
自分でも小説らしきものやエッセイ・自分史等を書いており、2冊の自費出版本がある。

 昭和49年発行の 「わたしの綴り方集」 という本のまえがきに、 「わたしは ”ことば” が
好きである  ことばに激し  ことばに泣き  ことばに笑う  テレビドラマのひとことの
セリフにさえ魅せられ  しばし陶酔する  ことばは人間である」 と書いている。

 70歳代になった娘の私はいま、自分が確かに父の血を受け継いでいることを実感して
いる。



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Posted by 熊本県高齢者介護施設・住宅ガイド at 13:31 │おしゃべり通信(KOGA)