2019年09月27日

秋刀魚の歌

 毎月2回、新聞記事を持ち寄ってあれこれ話し合う 「新聞カフェ」 に参加している。

 先日、Aさん(男性・75歳)が 「古賀さん、さんま、さんま、苦いかしょっぱいか
そが上に熱き涙をしたたらせて さんまを食ふはいづこの里のならいぞや。 という詩を
知っているか。」 と聞かれた。 明治の文豪 「佐藤春夫」 の作だという。

 亡くなった父が持っていた 「現代文学作品集」 の中にあるかもしれないと思って、実家の
書棚を覗いてみた。 あった。 

 今から66年前、昭和28年発行。 定価280円だった。 しっかりした製本だったので
表紙はきれいだったが、ページをめくるとかなり黄ばんでいて、虫眼鏡でも見えないくらい
小さな文字が、上下段に分かれてびっしり並んでいた。

 多くの短編小説の後に 「殉情詩集」 があり、その中の一編が 「秋刀魚の歌」 だった。
「あわれ  秋風よ  情けあらば伝へてよ  男ありて今日の夕餉にひとり  さんまを
食らいて  思いにふける  と。」

 この書き出しから詩は、物語のように続いて 「さんま  苦いか  しょっぱいか」 に
つながっていく。 Aさんは、この二行のフレーズだけがなぜか頭に残っていたのだという。

 佐藤春夫は、谷崎潤一郎 ・ 夏目漱石 ・ 菊池寛等と並ぶ明治の文豪である。 Aさんの
ひとことがきっかけで、思いがけず父の書棚にある古い文学に触れることができた。



KOGA 


同じカテゴリー(おしゃべり通信(KOGA))の記事画像
ポピーの開花
同じカテゴリー(おしゃべり通信(KOGA))の記事
 区役 (2021-05-12 10:40)
 ハルちゃん (2021-04-28 10:26)
 母の薬代 (2021-04-21 10:12)
 竹の子 (2021-04-12 15:10)
 観葉植物の植え替え (2021-03-31 14:00)
 地震の恐怖 (2021-03-22 14:17)

Posted by 熊本県高齢者介護施設・住宅ガイド at 16:50 │おしゃべり通信(KOGA)