ホタル
5月15日、90歳で亡くなった父の「七回忌」 のため、県外にいる次男夫婦が3泊4日の
予定で帰ってきた。
16日夜、次男がビール片手に外に出て行き、すぐ戻ってきて「ホタルがいる。」 と知らせて
くれた。 庭木の緑は沢山あるが、全く水気のない所にたった1匹、静かに点滅している。
その場所は水道メーター器の上だ。
よく17日は、私の誕生日。 不意に3年前に亡くなった夫が来てくれたのではないだろうかと
いう思いがよぎった。 気持ちがざわついて、そうっとそのホタルを両手に包み込み、闘病中、
夫が寝ていた部屋に放した。
電気を消したら、ほわん、ほわんと光りながら、部屋のあちこちを飛んだ。 しばらく一人で
その点滅を眺めていたが、はかない命を自然に戻そうと思って、また、そうっと両手に包んで
庭に放した。
夫が亡くなって感傷的になる事はあまりないが、未だに時折揺れる地震の時は、「今、地震が
きたね。」 と、地震の怖さを共有して語る相手がいないのは寂しいと思う。
KOGA
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